富山県在宅医療支援センター

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多職種活動紹介Vol.5 富山市医師会在宅医療支援センター(富山市)

富山市
多職種活動紹介Vol.5 富山市医師会在宅医療支援センター(富山市)
多職種活動紹介Vol.5 富山市医師会在宅医療支援センター(富山市)

平成24年4月当時の島田一彦会長・河上浩康担当理事が尽され、富山市医師会に在宅医療支援センターを立ち上りました。
それ以前より富山市内には「在医協とやま」という在宅医グループが設立されていました。
このグループの特徴は主治医・副主治医制でした。現在のような強化型在宅医療支援事業所が制度化される前です。当時、診療所は医師一人が当たり前の時代でした。しかし医師一人では無理があり、担当医が不在になったとき患者は必要な在宅医療を受けられないとの問題がありました。その象徴的事例は、当時「在医協とやま」会長であった水上先生が急死された時、グループ内で「在宅難民を助けよう」を合言葉にグループ内で仕分けし患者を担当できたことです。その基礎となったのは主治医・副主治医制です。その仕組みは「コールセンター」にて在宅新患者に対して予め主治医・副主治医を選定しておりましたことです。これによって70名という在宅患者の訪問診療が継続できました。
この「在医協とやま」はその後、富山市医師会在宅医療支援センターに移管しました。
「富山市医師会在宅医療支援センター」のHP内に連絡ツールをクリックしてお申し込みください。今年度はこの主治医・副主治医制のICT化を懸案中であります。
また、当時主治医不在時の看取りをどうするかが問題でした。富山市全域の開業医のため、河上先生の発案で富山市全域の「在宅医ネット」が設立されました。このネットは主治医が看取りに訪問できない時の代理医ネットです。発足当時登録会員数は47施設でした。現在、看取り可能な医療機関は76か所と増え、看取り医がみつからないことはありません。

さて、センターが設立された時会員の在宅医療の知識・技術の向上、多職種との交流・共有を目指し、「とやま在宅協議会」を発足されました。この会は年数回定期的に開催される勉強会です。事例検討、在宅医療・介護研修・講演会や実技指導など毎回その分野のエクスパートを講師として招いています。大変勉強になる会です。同協議会の現在まで活動内容は富山市医師会の在宅医療支援センターのHPを覗いてください。
さて、現在の当センターの活動は市民講座・在宅医療介護連携に関わる研修会です。市民講座は毎年県内外から講師をお招きし、「住み慣れた自宅や地域で安心して暮らす」ためにできることを考える講座であります。例年100名を超える参加があります。

また、医療介護連携を推進するために、平成28年より島田一彦前会長の発案で富山市内を5つのエリアにわけたエリア会議を開催し、エリア毎に多職種連携や在宅医療の支援体制の構築を進めています。この会議は毎年共通のテーマを決め、各エリアの実行委員会により企画・開催されます。各エリアの特徴ある会議で70~100名の参加があります。詳細はHPをご参考ください。今年度はコロナ感染の影響により密接を避けるためハイブリットで講演会を行いました。

次に富山市医師会の在宅医療のICTについて報告します。
富山市医師会は吉山泉会長の尽力で「診療工房」を発展させ、医療・介護の情報共有化ソフトとなっています。病診連携・医科歯科連携による医療情報だけでなく介護計画書や訪問看護指示書などの情報がデーターベース化されています。
ただ、これは公文書的なデーターベースであり、患者宅に持ち込むには向きません。
日々の患者の変化の情報発信にはスマートフォンによるSNSや在宅医療用のソフト(アプリ)が開発されており、富山市医師会ではこれらを紹介するイベントを開催してきました。
今後もよいICTがあれば紹介イベントを開催する予定です。
富山市医師会在宅医療支援センターでは第3の支援事業として
これから在宅医療を始める医師への支援として「在宅医療支援ガイドライン」を発行しております。是非一読していただければ幸いです。
また、在宅医療に必要な医療器具の支援として
① 在宅医療消耗機材共同購入支援
② 小型シリンジポンプの貸し出し
③ ポータブルレントゲンの出向撮影などの支援を行っています。

【原稿執筆:前川 裕 先生(富山市医師会理事)】