- 日時 2026/01/26
- 場所 砺波市
- 対象 医師・医療介護関係者
となみ地域在宅医療支援センターの取り組み
~多職種連携による持続可能な在宅医療の実現を目指して~
はじめに
砺波医師会では、地域の高齢化進展と医療ニーズの多様化に対応するため、医師会内に「在宅医療支援センター」を設置し、在宅医療の推進と啓発活動に積極的に取り組んでいます。従来の「となみ在宅緩和ケア研究会」の理念を継承しつつ、より実践的で持続可能な在宅医療支援体制の構築を目指しています。
在宅医療における役割分担の重要性
私たちは、在宅医療が単独で成り立つものではないという認識のもと、医療機関間の適切な役割分担を重視しています。急性期病院では救急医療や専門的治療を、慢性期病院では長期療養や回復期リハビリテーションを担い、在宅医療がその最終的な受け皿として機能する。この三層構造による連携こそが、患者さんとご家族にとって最適な医療提供体制だと考えています。
特に重要なのが、外来診療から在宅医療への円滑な移行プロセスです。いきなり在宅医療に移行するのではなく、まず「外来時々往診」という形で患者さんの状態や家庭環境を把握し、徐々に往診の頻度を増やしていく段階的なアプローチを採用しています。この過程では、地域包括診療の仕組みを最大限に活用し、24時間対応可能な体制を整備することで、患者さんとご家族の不安を軽減し、安心して在宅療養を継続できる環境を整えています。
地域連携における課題と解決策
多職種連携を効果的に進める上で、情報共有システムの構築は不可欠です。しかし、ICTシステムの導入においては慎重な検討が必要です。砺波という比較的小規模な地域が単独で独自のシステムを整備することは、費用対効果の観点から必ずしも最適ではありません。
現実的な課題として、隣接する高岡医療圏、南砺医療圏、そして富山大学病院など、それぞれが異なるICTシステムを使用している状況があります。各システムが独立して運用されているため、医療機関が複数のシステムを併用しなければならず、現場の医療従事者に大きな負担をかけています。さらに深刻な問題は、各システム間の横の連携機能が不十分で、結果的に紙ベースでの情報共有に依存せざるを得ない現状です。
この課題を解決するため、私たちはAI技術を活用した新しいアプローチを提案しています。既存の各システムからの情報を統合し、AIが自動的に整理・分析することで、医療従事者がどの場所からでも必要な患者情報にアクセスできる環境の構築を目指しています。これにより、システムの違いを意識することなく、シームレスな情報共有が可能になると期待されます。
今後の展望
私たちの目標は、技術革新と人的連携の両面から在宅医療の質を向上させることです。AIを活用した情報共有システムの導入により、医療従事者の業務効率が向上し、より多くの時間を患者さんのケアに充てることができるようになります。同時に、医療機関間の役割分担を明確化し、段階的な在宅移行支援体制を充実させることで、患者さんとご家族が安心して療養生活を送れる地域づくりを推進してまいります。
砺波地域の在宅医療が、富山県全体のモデルケースとなるよう、今後も多職種が一体となって取り組んでいきます。地域の皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
お問い合わせ:砺波医師会 在宅医療支援センター